カモミールは、白い花びらと黄色の花粉を持つ小さな花のハーブです。その甘くかぐわしい香りはよく青りんごに例えられます。日本の普通のスーパーのお茶コーナーでも、カモミールのティーバッグが必ず置いてある程にポピュラーなハーブティーですが、カモミールの古い歴史や効果・効能をよくご存じの方はそれほど多くないのではないでしょうか。
カモミールと呼ばれる花は主に2つありますが、ハーブティーとして使われるのはジャーマン・カモミールと呼ばれるものです。もう1つのカモミールはローマン・カモミールという名前で、こちらは普通、精油を取るのに使われるため、ハーブティーを扱うこの記事では、カモミールと言えば基本的にジャーマン・カモミールを指します。
ヨーロッパでは、カモミールは非常に古くから親しまれてきました。どれだけ古くから親しまれてきたかというと、カモミールの名前の語源は古代ギリシア語で『地上のりんご』を指すkhamaimēlon(カマメロン)であり、4000年以上前のバビロニアですでに薬草として利用されていたと言われるほどです。
カモミールの効果・効能は幅広く、穏やかな味と甘い香りも相まって、様々なブレンドハーブティーのベースのハーブとして活躍しています。
この記事では
・カモミールティーの特徴
・ハーブティーとしてのカモミールの評価
・カモミールの効果・効能
・カモミール購入時の選び方
・おすすめの購入店・淹れ方・飲み方
などをご紹介していきます。
カモミールティーの特徴
カモミールティーの特徴は2つあります。1つは、穏やかで甘い香りとクセのない味を持つゆえに、シングルハーブティーとしてだけでなく、ブレンドハーブティーのベースとして大変良く使われることです。もう1つの特徴は、カモミールティーは、睡眠に導く作用をはじめとして、様々な効能を持ち、メディカルハーブティーとしても非常に役に立つことです。
カモミールの効果・効能は下に詳しく書きますが、幅広い症状に効きます。また、カモミールとのブレンドハーブティーは、カモミールの効果・効能に他のハーブを合わせて相乗効果を得られる上に、カモミールがベースなおかげで味と香りも素晴らしいものがたくさんあります。
ローズヒップティーの評価
基本的には、心安らぐ甘い香りとあっさりした味の飲みやすいハーブティーなのですが、ポットに入れたカモミールにお湯を注いでから長く放置しすぎると若干の苦味が出ることがあり、その苦味がどうしてもだめという人をたまに見かけるので、飲みやすさと味は星4つの評価にしてあります。苦味を感じた場合は、蜂蜜やミルクを加えると和らぎますので、苦味が嫌な方はお試しください。
カモミールは、濃く淹れたカモミールティーや精油をリンス・化粧水に使うと、美髪・保湿やフケ防止、美白にたいへん役立つものが出来るのですが、カモミールティーを飲むだけだと美容面への効果はそこまででもないので、星3つにしてあります。
また、カモミールティーは特別なビタミンやミネラルを含むわけではありませんが、病気や精神面への効果・効能が多岐にわたることから、健康への評価は☆5です。価格も、ティーバッグの品であれば、10ティーバッグが2~300円ほどで手に入り、ハーブとしてはかなり安い部類にはいるため、☆5です。
カモミールティーの効果効能
特に、アピゲニンと言う物質とルテオリンと言う物質の効果が多岐にわたります。
リラックス・鎮静効果
カモミールの甘い香りによるリラックス効果と、アピゲニンというカモミールティーに含まれる物質の鎮静効果により、寝付きが早くなり、長い時間ゆっくり眠ることが出来ます。
精神不安やうつ状態の改善効果
甘い香りによる効果もありますが、アピゲニンによる精神不安や抑うつを改善する効果のほうがよく研究されて実証されています。精神不安やうつ状態の原因の多くはストレスですが、アピゲニンには抗ストレス作用もあるとされています。
胃腸の不調改善効果(精神的ストレス、消化不良の両方に効く)
甘い香りによるリラックス効果と、アピゲニンによる精神不安改善効果や抗ストレス作用、抗炎症作用で、神経からくる胃腸の不調が改善されます。カモミールティーにはルテオリン、カフェイン酸、シリンジ酸、ポリフェノール類が含まれるのですが、これらすべてに抗炎症作用があり、胃腸の炎症を抑えてくれます。
風邪の初期症状を改善する効果
カモミールティーのアピゲニン、ルテオリン、カフェイン酸、シリンジ酸、ポリフェノール類が抗炎症作用を持つため、喉や呼吸器の炎症を押さえ、体全体の炎症も押さえて熱を下げるので、風邪のひき始めに効果があります。ルテオリンには免疫反応性を高める作用があるため、これも体内のウイルスや菌を殺すのに効果的です。カモミールティーが含む成分であるシリンジ酸の抗菌作用も効果を発揮するかもしれません。
花粉症を改善する効果
カモミールティーのアピゲニン、ルテオリン、カフェイン酸、シリンジ酸、ポリフェノール類が目、鼻の炎症を抑えます。ルテオニンには、鼻水やくしゃみの原因となるヒスタミンの生成を抑える抗アレルギー作用もあります。カモミールティーは、ケルセチンとイソラムネチンと言う物質も含みますが、これもヒスタミン生成を抑える抗アレルギー作用があり、鼻水やくしゃみを押さえます。
ただし、カモミールティーは春の花粉症には効いても、秋の花粉症には逆効果になることがあります。秋の花粉症はキク科のブタクサやヨモギの花粉が原因であることが多いのですが、カモミールもキク科であるため、ブタクサやヨモギが原因の花粉症だった場合、カモミールティーが含む花粉にもアレルギーを起こしてしまうことがあるのです。そのため、カモミールティーを花粉症対策に飲むなら春にしましょう。
生理痛軽減効果
生理痛の原因として、子宮の筋肉が引き攣れるように動くことがありますが、カモミールティーには筋肉の痙攣を抑える作用(鎮痙作用)があるポリフェノール類が含まれているため、生理痛を和らげてくれます。
生理前症候群(PMS)軽減効果
生理前症候群にはイライラや落ち込みの精神症状が多いですが、香りによるリラックス効果とアピゲニンの精神不安・うつ状態改善効果がそれらを軽減してくれます。
抗酸化物質による動脈硬化予防と心疾患予防
ルテオリン、ポリフェノール類、ケルセチン、イソラムネチン、カフェイン酸、シリンジ酸には抗酸化作用があり、動脈硬化を予防する効果があります。ケルセチンは血圧降下作用もあるため、動脈硬化予防と高血圧の改善によって心疾患の予防に効果があります。
カモミールティーの選び方
ハーブによって購入時に気をつけるべきことは少しずつ異なってきます。これから書く選び方はあくまでカモミールの場合についてです。
原産国を見る
カモミールは、エジプト産、それもナイル川沿いの渓谷に自生しているものが最高品質とされています。エジプト産だからといってナイル川沿いのものであるとは限りませんが、質の良いカモミールである可能性は高くなるでしょう。
有機栽培かどうか
現代の農薬はよく出来ているため、農薬を使った慣行栽培でも特にハーブの安全性に問題はありません。しかし、あえて農薬を使わず手間暇をかけて作っている有機栽培のカモミールは、その分、質が良い可能性が高いと考えられます。
適切に保存されているかどうか
これはカモミールに限った話ではありませんが、ハーブは酸化や湿気ですぐ劣化します。そのため、しっかりと密封された袋に入れられているか、しっかり密封できる形の瓶に入っているかをよく見て選んでください。自宅で密封して保存できる量か、劣化する前に使い切れる量かも考えましょう。
加工方法(カットかホールか)で選ぶ
これも、カモミールに限らず、香りと味を楽しむハーブ全般に言えることですが、刻まれている(カット、ファインカット)状態だと、ハーブティーを入れる時、刻まれていない状態(ホール)と比較して早く味と香りが出るものの、刻まれているため酸素に触れる面積が多く、酸化による劣化が早いです。そのため、細かく刻まれているものならしっかり密封されているものを選ぶべきです。
ハーブティーはホールを買って、そのまま使うか、使う直前に細かくするほうが香りが良いと主張する人もいます。
購入方法
スーパーでの購入
普通のスーパーで手に入るカモミールティーは、トワイニング、ポンパドール、日東紅茶(ペパーミントとのブレンド)、リプトン(オレンジピールとのブレンド)の4ブランドですが、この中ではポンパドールのカモミールティー(10ティーバッグ)が試しやすい価格・量で、しかも1パックずつ密封保存されてカモミールが劣化しづらくなっているのでおすすめです。
スーパーではなく、ドラッグストアで見かける品ですが、山本漢方のカモミールティーは多くのドラッグストアで手に入り、多めの量が安く買えて非常にコストパフォーマンスが良いので、これをお試し用とするのも良いでしょう。
もしカルディに行きやすい地域なら、ポンパドールと同様、ハーブ大国ドイツにルーツを持つブランド、メスマーのカモミールティー(25ティーバッグ)もおすすめです。
ハーブ専門店での購入
全国展開している生活の木、本州で展開しているenherb、ハーブ・アロマ専門店の老舗カリス成城など、実店舗があるハーブティー専門店なら必ずと言っていいほど置いてあります。漢方の生薬(東洋のハーブとも言える)を扱う、未病薬膳ラボという店ですら、『母菊』と言う名を冠してカモミールを販売しているほどです。
名前が関係しているわけではないでしょうが、プラナロム精油販売店カモミールは、カモミールのシングルティーもカモミールのブレンドティーもいろいろ置いてあります。また、肌にいい成分がたくさん含まれていて、手作り化粧水の材料にも使えるカモミールのフラワリーウォーター(ハーブの精油を水蒸気蒸留で作る際に得られる、花の香りや成分を含んだ水)まで手に入ります。
カモミールのフラワリーウォーターや精油はジャーマン・カモミール、ローマン・カモミール共にありますが、化粧水に向くのはジャーマン・カモミールの方です。
ネット通販での購入
ハーブティー&アロマ専門店ユーンでも、enherbでも、プラスハーブでも、ハーブティーを扱うネット通販店なら、ほぼすべての店でカモミールティーは置いてあります。しかし、カモミールは様々なハーブとのブレンドに合うことから、あえてherbox でカモミールを含むオーガニックシングルハーブ詰め合わせ(7種類)を買うことをおすすめします。herboxでこの詰め合わせを買うと、herbox提供スマホアプリと連携して、その日の気分や体調に合わせたブレンドハーブティーレシピを考えて、記録しておいてくれるという楽しい試みがされています。出来たばかりのお店なので、まだ扱っているハーブの種類は少ないですが、これからに期待しましょう。
おすすめのカモミールブレンドティー
香りを楽しむ要素が強いものから効果、効能への期待が強いものまで、4つ紹介していきます。
『スウィートドリームズ!』(ルピシア)
カモミールの甘い香りに、オレンジピールとドライアップルが加わり、甘く暖かな香りに包まれます。ジンジャーも入っているため、体を温めて眠ることが出来ます。ブルーマロウのとろみが喉の潤いを保つため、乾燥する季節の就寝前に特にいいかもしれません。
カモミール・蜂蜜・バニラの甘い香りに、少しのオレンジの香りがアクセントになっています。リラックスしたいときにも眠る前にもおすすめです。ほんのり甘い味がしますが、リコリスというハーブによる、糖分でない甘みなので、飲んだあと歯磨きをしなくても虫歯の心配なしにそのまま眠れます。
『ストレスでキリキリしちゃうときに』(enherb)
ハーブ専門店のため、カモミールベースではありますが、メジャーでないハーブや手に入れにくいハーブもふんだんに使われています。そのため、様々なハーブがカモミールと効果を増強し合い、ストレス緩和に働きかけてくれます。
『胃腸にもやさしいリフレッシュブレンドハーブティー』(オーガニックハーブティー専門店YUANHERB)
やはりハーブティー専門店のため、カモミールをベースにブレンドされているハーブの種類や効果が豊富で、ストレス性の胃腸の不調にも食べ過ぎの胃腸の不調にも対応できるブレンドになっています。
カモミールティーのおすすめの淹れ方
カップ1杯(150~180ml)に対し、大さじすりきり1杯の茶葉を目安として入れてください。できればポットを温めてから、カモミールをポットに入れ、熱湯を注いで蒸らします。カットなら3~5分、ホールなら5~8分が蒸らし時間の目安ですが、商品に蒸らし時間が書いてあれば、そちらに従ってください。ミルクなどを加えたい場合は、カモミールを多めにするか熱湯の量を減らして濃いカモミールティーを作ってください。
カモミールティーのおすすめの飲み方
ホットミルクティーにして飲む
ミルクにはカモミールの甘い香りがよく合います。ホットミルク自体も眠りにつくのに良い飲み物ですが、リラックス作用や鎮静作用があるカモミールティーが加わることで、さらにナイトドリンクにふさわしくなります。また、カモミールティーに苦味を感じる人もいますが、ミルクはそれを和らげてくれます。
はちみつを入れて飲む
カモミールの甘い香りにはちみつの甘い香りと甘さがとても合います。粉末蜂蜜がブレンドされたカモミールティーのティーバッグも売られているほどです。カモミールティーはクセがなくあっさりした味ですが、若干の苦味を感じる人もいるので、それを消す意味でもおすすめです。
マーマレードジャムを混ぜて飲む
カモミールの香りはオレンジの香りに合います。オレンジの香りは気持ちをリラックスさせて明るくしてくれますので、香りの効果としてもカモミールと相性がいいです。
カモミールティーを非常に濃く淹れてオレンジジュースとブレンドするレシピもあるのですが、そうするとオレンジジュースの酸味が際立ってしまいがちで、ブレンドの調整が難しいため、カモミールにオレンジの香りと甘さを足せるマーマレードジャムを混ぜる方をおすすめします。
このハーブとのブレンドティーがおすすめ
効果・効能だけでなく、香りや味の相性にも十分気を払って、できるだけ美味しく飲みやすいブレンドハーブティーレシピを5つ作りました。
カモミール2+ペパーミント1
落ち着いて眠るためのブレンドです。非常にシンプルなブレンドですが、オーバーワークで頭が痛いくらいにほてって興奮しているときにとてもよいです。カモミールの甘い香りが心をほぐし、ペパーミントの清涼感が頭の熱を冷ましてくれます。ペパーミントティーは手に入りやすく安価なので、そういう意味でもとてもおすすめです。
カモミール2+リンデンフラワー1+パッションフラワー1
緊張や不安をほぐして眠るためのブレンドです。リンデンフラワーは蜂蜜に似た甘く上品な香りのするハーブで、神経の疲れを和らげ、リラックスさせ、眠りにつきやすくする作用があります。パッションフラワーは特に際立った香りや味はないのですが、『天然の精神安定剤』と呼ばれるほど精神不安に効き、鎮静作用や催眠作用も備えるハーブです。ストレスや不安でどうしても寝つけないけれど、眠らないといけない、というときに飲んでみてください。
カモミール2+レモンバーム1+チェストベリー1
生理前症候群(PMS)を改善するためのブレンドです。リラックス効果、精神不安・うつ状態改善効果を持つカモミールに、カモミールに合うシトラス系の香りを持ち、精神不安やヒステリーを和らげるハーブであるレモンバーム、女性ホルモンバランスを改善してPMS全般の症状の緩和に効果があるチェストベリーを足しています。レモンバームはクセのない味ですが、チェストベリーは独特の苦味があるので、甘みを少し足して苦味を緩和してもいいかもしれません。多少苦くなっても構わないなら、チェストベリーをもう少し多くしてもいいでしょう。
カモミール3+ルイボス1+ラズベリーリーフ1
生理痛を改善するためのブレンドです。ルイボスティーの味にややクセがあるため、カモミールが多めになっています。カモミールとルイボスのポリフェノール類には鎮痙作用があり、生理痛の原因である子宮の筋肉の引き攣りを押さえて、生理痛を緩和します。ルイボスティーは冷え性にも効果があるので、温めると楽になるタイプの生理痛にも効きます。ラズベリーリーフはさっぱりした味のハーブで、子宮や骨盤周りの筋肉を調整する作用があり、生理痛の原因である子宮の筋肉の引き攣りや安産に効果があるとされています。
カモミール3+ローズペタル1+ラベンダー1+レモンバーベナ1
華やかな香りでゆったりくつろぐためのブレンドです。カモミールの甘い香りにローズペタルの芳醇な香り、ラベンダーの優しい香りが優雅な気分にさせてくれ、レモンバーベナの穏やかなシトラス系の香りはカモミールに合い、リラックスさせてくれるだけでなく、明るい気持ちにさせてくれます。蜂蜜などの甘みを加えて飲むとさらにおいしくなり、くつろぐことが出来ます。
カモミールは様々なブレンドに合うため、ノンカフェインではなくなってしまいますが、紅茶とのブレンドも試したいという人が多いです。
紅茶とカモミールをブレンドするなら、渋みが少なく香りにクセがないキャンディ茶葉や、紅茶を淹れた時の香りがフルーティーもしくはフラワリーと形容されるヌワラエリヤの茶葉が、カモミールの甘い青りんごに似た香りと相性がいいです。ニルギリもフルーティー系の香りが合うさっぱりした茶葉なので合います。
カモミールティーを提供しているお店
カモミールのシングルハーブティーは、多少の種類のハーブティーを用意している店ならほとんどのところで飲めるので、カモミール中心のブレンドハーブティーが飲める店を選びました。
名前のとおり銀座のカフェです。ハーブと生薬の薬効を重視したメニューとドリンクが特徴のお店です。アフタヌーンティーでは、120種類のブレンドハーブティーを選べるので、カモミールブレンドハーブティーもたくさん楽しめます。
大阪市淀川区にあるメディカルハーブ専門カフェです。常に40種類ほどのハーブを用意してあるお店です。注文により、シングルハーブティーあるいは2種類ほどのハーブをブレンドしたブレンドハーブティーが飲めるので、カモミールティー単体もカモミールに好みのハーブをブレンドしたハーブティーも楽しめます。
下北沢にあるカフェ&バーです。提供されるハーブティーはフラワリーでフルーティーなブレンドハーブティーで、カモミールブレンドハーブティーでは『マンゴー&スパイシーカモミール』という、カモミールにオレンジピールやドライフルーツチップ、ジンジャーなどをブレンドした、甘い香りながら刺激的な風味も楽しめるブレンドハーブティーが飲めます。
また、カモミールをブレンドした健康に良いブレンドハーブティーの茶葉も多くの種類を販売しているお店です。
神奈川県中郡大磯町(大磯駅出口から5分)にある、カフェ併設のマッサージ店です。健康と美容に配慮した11種類のオリジナルブレンドハーブティーのうち、4種類がカモミールのブレンドハーブティーです。シングルハーブティーも16種類から選べるため、カモミールシングルティーも頼めるはずです。
カモミールティーを飲む際の注意点・副作用
キク科の花粉にアレルギーを持つ人はカモミールティーを避けるべき
上でも書きましたが、カモミールはキク科のハーブであるため、カモミールティーを飲むとアレルギーを起こす危険があります。秋の花粉症はキク科のブタクサ、ヨモギの花粉がアレルゲンであることが多いので、秋の花粉症がある方はカモミールティーを避けるべきです。
どうしても飲みたい場合は、最初にカモミールティーをごく少量飲んでみて、体に異変がないか確かめてから、普通に飲むことを始めたほうが良いでしょう。
妊娠中の人にとっては子宮収縮の可能性が否定できないのでカモミールティーを避けるべき
ポリフェノール類が子宮の引き攣りを押さえると書きましたが、子宮の筋肉の動きに影響するということは収縮にも働く可能性があるということです。子宮収縮は胎児への悪影響、時に流産を引き起こします。ローマン・カモミールにははっきり子宮収縮作用が確認されており、ジャーマン・カモミールでははっきり子宮収縮作用が確認されたわけではないのですが、安全と言い切るには信頼できるデータや研究が不十分です。ジャーマン・カモミールのハーブティーであっても妊娠中は避けたほうが無難でしょう。
授乳中の人にとってカモミールティーが安全と言い切るにはデータが不十分
カモミールティーは特別に刺激的な成分を含むわけではありませんが、カモミールティーが授乳中も安全と言いきれるだけの信頼できる研究やデータが不足しています。安心して授乳したいなら、授乳中にカモミールティーを飲まないほうが無難でしょう。
乳がん、子宮がん、卵巣がん、子宮内膜症などの人はカモミールティーを避けるべき
カモミールティーは飲んだ人の女性ホルモン感受性に影響を与える可能性があります。女性特有の組織のがんや病気は、ホルモン療法など、女性ホルモンの作用を止めたり調節したりする薬で治療することがあるのですが、カモミールティーがそういう治療をしている人の体の女性ホルモン感受性に影響を与えてしまうと、治療がうまくいかなくなります。そのため、カモミールティーの飲用は避けるべきです。
まとめ
・カモミールティーはリラックス作用、精神不安や抑うつ状態を和らげる作用、抗炎症作用、抗アレルギー作用、鎮痙作用などを持ち、寝付きの悪さ、生理前症候群(PMS)胃腸の不調改善、風邪のひき始め、花粉症に効果があり、更には生理痛改善や動脈硬化予防、心疾患予防まで幅広い効果を持ったハーブである
・カモミールティーは青りんごに似た甘い香りでクセがなく飲みやすい味を持ち、健康への効果が高く、価格も安い。
・カモミールティーは飲用だけなく髪や肌に外用すれば美容効果も高い
・購入するカモミールティーを選ぶときは、酸化や湿気による劣化を防ぐためきちんと密封されたものを買うべき
・カットされた品とホールの品ではカットのほうが酸化による劣化が起きやすいため、密閉保存されているか、密閉保存が家でできるかどうか特に気をつける
・カモミールはエジプトのナイル川沿いに自生するものが最奥品質とされているが、有機栽培で手間ひまかけて栽培しているものも質が良い可能性が高い
・カモミールは甘い香りとクセのない味から様々なハーブとのブレンドに合い、ブレンドのベースに使われることが多い
・ハーブティーを提供するカフェなら、ほとんどでカモミールティーが用意してあるため、カモミールシングルティーだけでなくブレンドティーも楽しめる店を選んだほうがいいかもしれない
・キク科の植物にアレルギーを持つ人はカモミールティーの摂取を避けるべき
・妊娠している人、授乳している人はカモミールティーの摂取を避けるベき
・乳がん、子宮がん、卵巣がん、子宮内膜症など女性特有の組織の病気の人は女性ホルモン感受性への影響が疑われるカモミールティーの摂取を避けるべき
カモミールには、ハーブティーでは抽出できない脂溶性の成分もたくさん含まれていて、この脂溶性の成分にも健康に役立つものがあります。
ハーブの脂溶性の成分を水溶性の成分と同時に得るために、一番簡単な方法は、度数40度ほどのウォッカ(ホワイトリカーでも可能)100mlに付き、ハーブ10gを2週間~1ヶ月漬け込み、ハーブチンキを作ることです。
ハーブ全体が液体に浸かるようにしておき、時々揺すって成分を拡散するのが、ハーブチンキ作りのコツです。
カモミールのハーブチンキを作ると、ハーブティーで抽出できる成分だけではなく、脂溶性のビサボロールオキサイドAという、抗炎症作用、鎮痙作用、抗菌作用、抗掻痒作用(かゆみ止め作用)を持つ成分と、同じく脂溶性のグアイアズレンという抗炎症成分が同時に抽出できます。このハーブチンキをお湯やミルクに垂らして飲用することで、生理痛改善効果や風邪の諸症状の緩和効果、風邪の解熱効果の向上が期待できます。
カモミールチンキは、お湯やホットミルクに数滴~10滴ほど垂らすと、カモミールティー代わりになるだけでなく、少量のアルコールのおかげでより体が温まるのも良い点です。
また、ジャーマン・カモミールの精油は、ローマン・カモミールほど甘い香りではありませんが、アンチエイジングにとても役立ちます。ジャーマン・カモミールの精油は、ジャーマン・カモミールを水蒸気蒸留して精油を作る際に、ジャーマン・カモミールが含むマトリシンという成分が変化してできたカマメロサイドという物質を含んでおり、これが抗酸化作用と抗糖化作用(余分な糖分が肌などのタンパク質に結合することを糖化と言い、老化の原因のひとつとされている)を持ちます。そのため、アンチエイジングに役立つのです。
ジャーマン・カモミールの精油の使い方の1つとして、
- 精製水: 40ml
- 無水エタノール: 5ml
- グリセリン: 5ml
- 精油:5滴
- 保存用遮光瓶
を用意して、瓶にエタノールと精油を入れてよく溶かし、グリセリンと精製水も入れてよく混ぜると、手作りアンチエイジング化粧水が出来ます。よく煮沸して殺菌したカモミールティーか、フラワリーウォーターを精製水の代わりにすると、保湿、美白効果も期待できます。
飲んでおいしいカモミールティーを、体の中からも外からも使い尽くしてみてはいかがでしょう。