玉ねぎは料理でとてもよく使いますが、玉ねぎを切るときは、目に染みて涙が出るのが本当に辛いですよね。
涙が出すぎると、鼻水まで出るのもやりづらいところです。
しかし、玉ねぎを切る時にできるだけ目に染みないようにする方法は、色々とあります。
ここでは、玉ねぎを切ると目に染みる原因と、玉ねぎを切る時に一番目に染みない方法、一番染みないとはいかなくとも、お手軽にできたり安くできたりする方法をご紹介します。
目次
玉ねぎを切ると目が染みる理由
玉ねぎを切ると目が染みる理由は、玉ねぎが含む成分と酵素にあります。
生の玉ねぎはアリインと言う物質を含むのですが、玉ねぎを切ると、玉ねぎの細胞の別の部分に含まれているアリイナーゼと言う酵素が、アリインを分解してアリシンという物質にしてしまいます。
このアリシンは気化して空気中に広がりやすく、粘膜に付くと粘膜を刺激します。
気化したアリシンは鼻から入って目の粘膜に付き、目の粘膜を刺激するので、玉ねぎをみじん切りにすると、目にアリシンが付き、目を刺激してしまい、目が染みます。
そして、体がアリシンを目から洗い流そうとするので、涙が出るのです。
玉ねぎを切っても目に染みない一番効果的な方法
事前に玉ねぎを冷蔵庫でよく冷やしておき、よく研いだ切れやすい包丁で切ることです。
玉ねぎを冷やしておくと、アリシンが気化して空気中に放出される量が抑えられます。
また、切れやすい包丁で切ることで、玉ねぎの細胞の損傷が少なくなります。
玉ねぎの細胞の損傷が少ないと、アリイナーゼで分解されるアリインが少なくなり、空気中に放出されるアリシンの量がさらに減ります。
そのため、玉ねぎを切っても目に染みにくくなります。
玉ねぎは切る30分前から冷蔵庫で冷やしておけば大丈夫です。
また、普通、玉ねぎは乾いたところで常温保存しますが、玉ねぎを新聞紙でくるんで湿度を低く保ち、ポリ袋で密閉しないよう軽く包めば、買ってきたときから冷蔵庫で冷やして保存することも可能です
普通の玉ねぎで1ヶ月冷蔵保存でき、新玉ねぎや赤玉ねぎなら1週間冷蔵保存できます。冷蔵保存だと、常温保存よりやや玉ねぎの栄養価は落ちてしまうのですが、常に冷蔵保存しておけば、いつでも玉ねぎを切ることができます。
また、普通の砥石で包丁を研ぐのはそれなりに技術がいりますが、今は簡単に包丁を研げるように調整された研ぎ器(シャープナー)がいくつも売られています。
<研ぎやすいアイテム紹介>
SIVIR 包丁研ぎ器
Odejaa 包丁研ぎ器
Wollpo 包丁研ぎ器 シャープナー
京セラ 手動研ぎ器 ロールシャープナー
その他の玉ねぎを切っても目に染みない方法
玉ねぎを事前に冷やす+よく切れる包丁で切る、の合わせ技ほど効果的ではありませんが、それよりも楽に実践できる、あるいは安く実践できる、玉ねぎを切っても目に染みにくくなる方法は色々とあります。それらを、目に染みにくくなる原理別に紹介していきます。
アリシンを元から除去する方法
事前に玉ねぎを丸ごと水につける
玉ねぎを水に1時間ほどつけておくことで、アリシンを水に溶け出させる事ができます。
すべてのアリシンが完全に溶け出すわけではありませんが、これだけでも、玉ねぎを切った時、空気中に放出されるアリシンをかなり減らせ、目に染みにくくできます。
ただし、この方法は玉ねぎの他の栄養分も水の中に溶け出させてしまうので、玉ねぎの栄養を余すところなく摂りたいときは避けたほうがいい方法です。
玉ねぎを一度切るごとに包丁を水で濡らす
包丁が新鮮な水で濡れていると、本来なら空気中に放出される分のアリシンが包丁の水に溶けて、空気中に放出される量が減るので、目に染みにくくなります。
毎回包丁を濡らすのはやや面倒ではありますが、玉ねぎを丸ごと水に付けてアリシンを溶け出させる方法と異なり、玉ねぎの切断面のアリシンしか包丁についた水に溶け出さないので、玉ねぎの栄養成分はほとんど残る方法です。
アリシンを元から防ぐ方法
ゴーグルをつける
目に届くアリシンを物理的にシャットアウトし、目に染みなくする方法です。
水泳などをやっていないと、なかなかゴーグルは用意できないかもしれませんが、花粉症対策メガネやドライアイ対策メガネ(水分の蒸発を防ぐためメガネレンズの上下左右をプラスチックなどでカバーしてある)でも一定の効果はあります。
コンタクトを付ける
ゴーグルほどではありませんが、コンタクトを付けているだけでも、目に届くアリシンを物理的にシャットアウトする効果があります。
卓上扇風機を回す
これは、玉ねぎを切ると出るアリシンを、目に届く前に卓上扇風機の風で遠くに飛ばして、目に染みないようにする方法です。卓上扇風機は、夏用のものが色々売られています。
<卓上扇風機紹介>
KEYNICE 卓上型扇風機 充電式
Toyuugo 卓上扇風機 コードレス
KEYNICE USB扇風機 卓上&クリップ型
換気扇を最大パワーで回す
これも、玉ねぎを切る時に出るアリシンを、目に届く前に換気扇で室外に出して、目に染みないようにする方法です。
キッチンの換気扇の配置によっては、卓上扇風機でアリシンを換気扇まで飛ばす+換気扇の力でアリシンを室外に出す、の合わせ技の効果が高いかもしれません。
玉ねぎに息を吹きかけ続けながら刻む
これも、息を吹きかけることでアリシンを遠くへ飛ばし、目に届かないようにする方法です。
この方法なら道具も電気代もいりません。
ただ、玉ねぎ1つを切るならともかく、大量に切るなら、息を吹きかけ続けるのは非常に疲れるので、大量に切るときは別の方法を取るべきでしょう。
口呼吸をし続ける
空気中のアリシンは、鼻から入って目の粘膜に届き、目を刺激します。
つまり、鼻から息を吸わなければ、鼻からアリシンが入らず、目にアリシンが届かず、目に染みません。
日常生活では鼻呼吸のほうが健康に良いですが、道具を使わず、手間もかけずに、玉ねぎを切っても目に染みないようにしたければ、玉ねぎを切っている間は口呼吸に徹しましょう。
マスクをする
鼻から入ったアリシンが目の粘膜に付着し、目を刺激するので、マスクをすることで鼻から入ってくるアリシンを防御する方法です。
口呼吸を続けるのが辛ければ、こちらの方法のほうがいいかもしれません。
鼻の両穴にティッシュを詰める
鼻からアリシンが入るのを防ぐための、より直接的な方法です。
鼻ぽんなど、鼻に詰めて鼻からの物の出入りを抑える製品があれば、それを使ったほうが、よりアリシンを防御できるかもしれません。
まな板の両脇に火を付けたろうそくを立てる
ろうそくに火を付けると、ろうそくに周囲の空気が吸い込まれる形で上昇気流が出来るのですが、まな板の両脇に火をつけたろうそくを置いて玉ねぎを切ると、アリシンがろうそくの方に吸い込まれて、上昇気流に乗って飛んでいくので、目を刺激することがなくなります。
換気扇を併用するとさらに効果が高まるでしょう。
アリシンは熱に強くないので、アリシンが分解される効果も期待できます。
ただ、玉ねぎを切る作業をしている最中に、火がついたままのろうそくをうっかり倒す可能性があるので、まな板を焦がしたり、溶けた蝋でまな板を汚したりなど、それなりのリスクが伴います。
十分に作業スペースが取れるキッチン以外では避けたほうがいい方法かもしれません。
火を付けたコンロのそばで切る
ろうそくを使う方法と同じように、火によってできる上昇気流でアリシンが吸い込まれて飛んでいきます。
これも換気扇を使うと更に効果が高まるでしょう。
火を付けたコンロのそばで切る場合は、ろうそくの火を使う方法より、玉ねぎを切る場所と火の間に距離ができてしまいますので、ろうそくを使うほどアリシンが上に飛んだり分解しないかもしれませんが、ろうそくを使う方法と違って、まな板を焦げ付かせたり汚したりする危険はありません。
目を洗いながら切る
これは玉ねぎを切った時に出るアリシンを、目についた端からこまめに洗い流して目への刺激を最小限に保つ方法です。
目への刺激を抑えるという意味ではとても直接的で効果的ですが、包丁を握ったり目を洗ったりを交互に繰り返すのは、かなり面倒な作業になるかもしれません。
体を騙して目を染みなくさせる方法
割り箸をくわえる
割り箸を横にして、真ん中あたりを口でくわえながら玉ねぎを切ると、涙が出にくくなります。
割り箸をくわえると唾液が出るのを促す働きがあるのですが、唾液が出ていると涙が出にくいためです。
飴やガムを口に入れる
これも割り箸をくわえるのと一緒で、唾液が出るのを促して、玉ねぎを切っていても涙が出にくくなる方法です。
口に水を含む
これも唾液が出るのを促して、玉ねぎを切っていても涙が出にくくなる方法です。
口に何か入れて口の中を刺激すれば、多少なりとも唾液が出るので、タブレットやグミなどでも大丈夫かもしれません。
舌を思い切り出す
これも唾液を出して涙を出にくくする効果があります。また、濡れた舌を口から出すことで、舌や口の中の水分にアリシンが溶けて、空気中のアリシンが減る効果があるとも言われています。
ただ、玉ねぎ1つならいいのですが、玉ねぎを大量に切る必要があるときは、舌をずっと出し続けているのは辛いので、別の方法のほうがおすすめです。
切り落とした皮付きの玉ねぎの頭を口にくわえながら切る
基本的には、割り箸の方法と同じ原理で唾液が出るのを促して涙が出にくくなる方法です。
また、玉ねぎの皮自体に唾液を出すのを促す効果があると言われているため、より唾液が出て涙が出にくくなる効果が期待できます。
いちいち割り箸や飴などを用意しなくてよく、玉ねぎを切る時に、最初に頭を切り落としてそれを口にくわえるだけなのでお手軽です。
アリシンの放出を抑える方法
玉ねぎの繊維に沿って切る
玉ねぎの繊維に沿ってきれいに切ることで、玉ねぎの細胞の損傷を最小限に抑え、アリシンができてしまう量を抑えることができます。
参考までに、玉ねぎの繊維に沿ったきれいなみじん切りの動画を2つ載せておきます。
こちら(You Tube)やこちら(クラシル)です。
この方法でも、よく研いだ切れやすい包丁を使うと、さらに空気中に出るアリシンの量を減らせ、より目に染みにくくすることができます。
事前に玉ねぎを皮ごと電子レンジで加熱する
玉ねぎの上下を皮付きのまま切り落とし、玉ねぎを切る前に皮付きのまま、まるごと電子レンジで加熱することで、切り落とした玉ねぎの上下からアリシンが飛び、みじん切りにしてもアリシンが出にくくなり、目に染みなくなります。
加熱時間は500~600Wで40秒ほどが目安です。
もし皮をむいてしまった後だったら、ラップでまるごとくるんで少し短めに(30秒ほど)加熱してください。
電子レンジで加熱すると、玉ねぎの皮がむきやすくなる上、炒めるよりも甘くなるので、色々とお得なのですが、この方法だと玉ねぎに火が通ってしまいます。
生の玉ねぎのみじん切りが欲しいときには、やはり玉ねぎを冷やしてからよく切れる包丁で切るしかありません。
ウラワザ的方法
アリシンが出やすい場所を取り除く
玉ねぎの根の部分を円錐の底面として、そこから玉ねぎの中身の円錐の形の部分が、一番アリシンが出やすい場所だといわれています。
そのため、皮をむく前の玉ねぎの根の周りに、果物ナイフほどの小さめのナイフを入れ、円錐状にくり抜くように意識してくり抜き、くり抜いた部分を取り除き、そこをみじん切りに使わないようにしてください。
言葉の説明よりも、実際のやり方を見たほうがわかりやすい方は、英語の動画ですが、実際のやり方がこちらで見られます。
みじん切り器や容器付きスライサーを使う
みじん切り器は、密閉できる容器内に回転する刃物があって、それの中に野菜を入れれば細かく刻んでくれる道具です。
密閉されているので、刻んでいる最中にアリシンが空気中に漂う心配がありません。
みじん切りにした後、容器を開ける一瞬は、鼻から息を吸わないようにしないと目に染みる恐れがありますが、刻まれた玉ねぎをすぐラップでくるむなどしてしまえば、アリシンはそれ以上空気中に漂わないので大丈夫です。
容器付きスライサーも、切った玉ねぎがすぐに下の容器に落ちて、容器の外の空気に触れないため、アリシンが漂いにくいです。切った後、容器を開ける一瞬は、やはり鼻から息を吸わないようにしないと目に染みる恐れがありますが、すぐに切れた玉ねぎをラップにくるんでしまえば、アリシンが多く漂う心配はありません。
みじん切り器&容器付きスライサー紹介
K&Aみじん切り器 ぶんぶんチョッパー
強化版2.5倍K&Aみじん切り器ぶんぶんチョッパースーパー5
Sedhoom みじん切り器 チョッパー ホワイト 1L
スライサー 野菜カッター 1台9役 千切り Yunia 多機能調理器セット
千切り スライサー 楓セラ 1台9役 野菜カッター
千切り スライサー 楓セラ 1台7役 野菜カッター
切っても涙が出ない品種の玉ねぎ「スマイルボール」を使う
ハウス食品が品種改良で作り上げた、切ってもアリシンが出ない玉ねぎである「スマイルボール」を使えば、普通に切るどころか、とことんみじん切りにしても、まったく目に染みません。
普通のスーパーでは売っていない品種の玉ねぎですが、ハウス食品の通販、ハウスダイレクトやLOHACOから購入できます。
まとめ
・玉ねぎを切ると、粘膜を刺激するアリシンという物質が空気中に放出されるため目に染みる
・一番効果があるのは玉ねぎを冷やす+よく研いだ切れやすい包丁を使う、の合わせ技
・他にも原理別にいろいろな方法がある
・水を使ってアリシンを元から除去する方法
・ゴーグルや風向きでアリシンを元から防ぐ方法
・唾液を出させて体を騙して目を染みなくさせる方法
・玉ねぎの加工方法を工夫してアリシンの放出を抑える方法
・専用の道具や玉ねぎの品種を駆使するウラワザ的方法
玉ねぎを切っても目に染みない方法には、本当にいろいろな方法があります。
ですが、どの方法も完全に完璧なわけではなく、コストが掛かったり、時間がかかったり、労力がかかったりと、一長一短があります。
こちらの記事で、いろいろな方法と、その一長一短を紹介しましたので、この中から、あなたの家のキッチンでのベストな方法を探し出してみてください。